「新聞広告のプレゼンをする際にBGMを流した」という話を聞いたことがあります。いうまでもなく雰囲気づくりのための演出です。新聞広告案にはインパクトのあるビジュアルなどがあるのでしょうが、音楽の演出のおかげでクライアントにはきっとそれだけを見た時よりもいくらか魅力的に見えたはずです。私はこのプレゼンにはまったく意味がないと思います。これではただクライアントの承認を得たいだけです。アウトプットはユーザーに向けられたものであって、クライアントに向けられたものではないはずです。スペシャルな演出でプレゼンをして、クライアントを納得させてもまったく意味はありません。極論を言えば、アウトプットそのものだけを見せて、「こうなります。」というのが、一番まっとうなプレゼンなのかもしれません。現実にはクライアントは莫大な予算をかけて発注をしているわけですから、そのアウトプットを考えた経緯や根拠、期待できる効果などについても説明を入れえるべきですが、結局ユーザーが目にするのはアウトプットのみです。クライアントへのプレゼンで交わされた議論などユーザーは知る由もありません。アウトプットのプレゼンはあくまでユーザー目線に立って判断できるようなものでなくてはいけない。それに、クライアント用に説明が必要なアウトプットとはすなわち「説明がなければわからないアウトプット」に他ならないわけですから。